実践キャリアネット

【会員コラム-No. 24】(キャリアネット通信 2024-No. 7)

今月のコラムは、キャリアネットの設立にご尽力いただいた、市川幸子さんから、設立の経緯や思いをお伝えいただきます。

【実践キャリアネット設立までのこと】

若松さんの思い
実践キャリアネット20周年祝賀会、とても温かないい会でした。準備してくださった運営委員の皆さまありがとうございました。

20年を機に、忘れないうちに、設立までのことを書いておこうと思います。実践キャリアネット(以後、キャリアネット)は、ひとえに元実践桜会理事長の若松幸子さんの強い思いからスタートしました。
20数年前のことです。若松さんから「同窓会の中に、働く卒業生を応援するような役割があってもいいと思う。新たに作りたいので是非手伝ってほしい」と言われました。それまで同窓会にはまるで係わったことがなかったので、最初は戸惑いました。でも、若松さんのお話しを聞くうち、協力したいという思いが強くなりました。

「男性は社会に出ると学閥、ゼミ閥などさまざまなつながりがあって、情報交換、勉強会などの機会があり、成長する機会に恵まれている。実践の卒業生も働くのが当たり前になってきたけれど、まだ点のようにしか存在していない」

「大学も学生が就職するまでには力をいれるけれど、就職後は何もしていない」

それらの言葉に共感したのです。今でこそ、大学のキャリアセンターはエンロールマネジメントの考えを取り入れ、入学から卒業、卒業後まで支援していく体制になっていますが20年前はそうではありませんでした。
働く実践の卒業生を点から線へつなぎ、そして面に広げていけるような会ができたらすてきだと思いました。会の名前は「実践キャリアネット」すぐに決まりました。

発起人会のこと
さて、具体的にどう作るのか。2人だけではどうにもなりません。

いろいろな分野、職業で働く実践の卒業生たちに発起人になっていただき、具体的に進めていくことを決めたのが2001年ごろでした。今のようにネットの検索が容易ではない時代でしたから、同窓会、キャリアセンター、大学の先生、雑誌や新聞の記事などなどから卒業生の動向を集め、連絡を取り、若松さんと一緒に会いに行きました。メーカー、サービス業、流通業、教員、公務員といろいろな方々に連絡をしました。それはそれは大変でした。でもとても楽しい経験でもありました。

大手百貨店の初の女性店長さんが実践の卒業生と知り、すぐに会いにいきました。ブルドックソース社長の池田章子さんもお忙しい中、時間を作ってくれました。(池田さんは、その後2017年亡くなられました。残念なことでした)。
池田さんは「短大を卒業して、管理職になることなど全く考えてもいない、結婚までの勤めくらいの気持ちで就職しました。それが、人と出会い、仕事と出会う中で変わりました」と話してくれました。

このような体験談を学生や卒業生に聞いてほしいと思ったことでした。年齢も仕事も経験も違う卒業生たちに会う中で、会の輪郭がだんだん固まっていきました。

働く実践卒業生のネットワーク作り、交流会、勉強会、セミナー
短大、大学生への情報提供、相談会
再就職したい人への相談会 など
お目にかかった卒業生の方々は、みなさん快く発起人を引き受けてくださいました。そして、ご意見や提案もたくさんいただきました。

発起人会から準備会へ
ただ現役で働く皆さんはとても多忙で、一同に集まっていただくことは大変でした。発起人会は一度しか開けなかったと記憶しています。発起人の中で、福田恵子さん、部谷紀久子さんたちが比較的に土曜日なら動けるということで、準備委員を引き受けてくださいました。

2003年5月の実践桜会総会で承認を受けてから、組織作りが始まりました。理事長直轄の組織にし、規約を決め、運営委員会を作り活動していくことなどを決めていきました。「那与竹」情報版にキャリアネット設立の記事を掲載し、会員を募りました。

そして2004年2月に最初のキャリネット総会を開き、スタートすることができたのです。全国から148人が最初の会員になってくれました。そして、総会には41人が参加してくれたのです。とてもうれしかったことを覚えています。

私も最初の運営委員の1人として、学年も学部学科も違う同窓生たちと「働く」をキーワードに活動することはとても楽しいことでした。同窓生とはいいものだなあとつくづく実感したことでした。
それからあっというまの20年でした。働く女性を取り巻く状況は大きく変化しました。卒業して働くことも、共働きも当たり前の時代になりました。仕事の選択肢も増えました。情報は有り余るほどあります。大学のキャリアセンターの役割も広がりました。

でも、今年5月の世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数では、日本は146か国中、118位でした。とくに、経済、政治の分野の遅れが目立つと指摘されました。働く女性の数は増え、働くことは当たり前になりましたが、労働の質がまだまだ遅れているということだと思います。

キャリアネットは、「働く」をキーワードに、大学とも連携しながら、これからも活動を進めてほしいと願っています。(市川 幸子)