実践キャリアネット

【会員コラム-No.17】(キャリアネット通信2023-No. 12)

今月も運営委員のコラムをお送りします。

『下田歌子先生のこと』

12月2日(土)「ひの市民大学」で「実践女子大学の創立者下田歌子の歴史―近代史としての女性の生き方」を受講しました。講師は実践女子大学人間社会学部教授で、下田歌子記念女性総合研究所の所長も歴任された広井多鶴子先生です。「ひの市民大学」は日野市と多摩市の公民館が連携し市民の企画を実現するという講座で、今回のテーマも市民からのリクエストで開催されたとのことです。当日は男性の姿もありました。卒業生の自分は下田先生のことをよく知らずにいたので是非聞きたいと思い参加しました。

明治という教育の男女格差が大きい時代、下田先生は実践女学校だけでなく、多くの女学校設立の支援・運営にかかわり、日本の女子教育に大きく貢献しています。働く女性のための夜間学校や通信教育、手に職をつけることができる学校の設立など、貧困層から上流階層まで幅広い女性を対象にして様々な事業を構築しています。その中には託児所や助産所の設立もありました。この時代にこのスケールの大きさはたいへんな驚きです。

また、当時の清国は女学校がまだ整備されていなかったので、実践女学校は多くの留学生を受け入れていました。下田先生の作られた家政学の教科書が中国の女子教育で使われていたというのは初めて知りました。中国から日本に来ている留学生で、中国の女子教育の歴史を調べるために、下田歌子の研究をしている人がかなりいるそうです。

下田先生の業績は、もっと多くの人に知っていただき、評価されていいのではと思います。そしてあらためて先生を誇りに思いました。
広井先生は丁寧にわかりやすく話されたので、私だけでなく参加した方達に下田歌子像がはっきり伝わったと思います。今回の講座は対外的にも実践女子学園の創立と下田歌子を伝える良い機会でした。(AI)